01遺族年金の種類
遺族年金には大きく2種類あります。亡くなった方の年金加入状況によって、受け取れる給付が異なります。
遺族基礎年金
- 受け取れる人
- 子のある配偶者または子
- 受給期間
- 子が18歳年度末まで(障害は20歳)
- 2026年度の金額
- 年額 816,000円 + 子の加算
- 第1・2子:各234,800円、第3子以降:各78,300円
- 対象となる年金
- 国民年金
遺族厚生年金
- 受け取れる人
- 配偶者(子なしでも可)・子・父母・孫・祖父母
- 受給期間
- 配偶者は終身(ただし条件あり)
- 2026年度の金額
- 故人の報酬比例部分 × 3/4
- (故人の標準報酬月額・加入期間による)
- 対象となる年金
- 厚生年金(会社員・公務員)
ポイント:会社員や公務員(厚生年金加入者)が亡くなった場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる可能性があります。 自営業・フリーランスなど国民年金のみ加入の場合は、遺族基礎年金のみです(子なし配偶者は受け取れません)。
02受給条件
遺族年金を受け取るには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
📋保険料納付要件
- 死亡日の前月までの2/3以上が保険料納付済または免除期間であること
- または、死亡日の前日において直近1年間に保険料の未納期間がないこと(特例)
👨👩👧👦遺族の優先順位
- 第1順位:配偶者(内縁含む)・子
- 第2順位:父母
- 第3順位:孫
- 第4順位:祖父母・兄弟姉妹
- ※上位の受給権者がいる場合、下位の人は受け取れない
💰生計維持要件
- 受け取る遺族の前年収入が850万円未満であること
- または所得600万円未満であること
- (死亡した人によって生計を維持されていた)
03受給額の目安と計算方法
2026年度の遺族年金の金額を計算する方法を解説します。
遺族基礎年金の計算
816,000円(基本額)
+ 子の加算:
第1・2子:各 234,800円
第3子以降:各 78,300円
例:子が2人いる場合 → 816,000 + 234,800 × 2 = 年額 1,285,600円(月額 約107,000円)
遺族厚生年金の計算
亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分) × 3/4
※加入期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算
例(目安):
年収400万円・厚生年金加入20年 → 老齢厚生年金 約80万円/年 → 遺族厚生年金 約60万円/年(月額 約5万円)
年収600万円・厚生年金加入30年 → 老齢厚生年金 約180万円/年 → 遺族厚生年金 約135万円/年(月額 約11.3万円)
04中高齢寡婦加算とは
子のない妻が夫の死亡時(または遺族基礎年金の受給終了時)に一定条件を満たす場合、遺族厚生年金に上乗せされる加算給付です。
受給条件と金額(2026年度)
対象者
子のない妻
(または子が18歳年度末を迎えた妻)
年齢要件
40〜65歳未満
(夫死亡時または子が年齢到達時)
2026年度の金額
年額 612,000円
(月額 約51,000円)
65歳以降は自身の老齢基礎年金を受給できるため、中高齢寡婦加算は終了します。子のない妻が40〜64歳の間に限り適用される「つなぎの給付」という位置づけです。
05受給権が消滅するケース
以下の事由が発生すると、遺族年金の受給権は消滅(または支給停止)します。
| 消滅・停止の原因 | 効果 |
|---|---|
| 再婚(事実婚含む) | 失権(復活しない) |
| 受給者本人が死亡 | 失権 |
| 子が18歳年度末を迎えた(遺族基礎年金) | 支給終了 |
| 養子縁組(配偶者が直系血族・兄弟姉妹以外と) | 失権 |
| 受給者が障害等級2級以上に該当しなくなった(子の場合) | 失権 |
※「失権」は受給権が完全に消滅すること。再婚後に離婚しても復活しません。
06遺族年金の税金・確定申告
遺族年金は完全非課税です
遺族基礎年金・遺族厚生年金・中高齢寡婦加算はすべて所得税・住民税の課税対象外です。所得として申告する必要もありません。
ただし以下の点に注意
- 健康保険料・介護保険料:遺族年金は収入として扱われる場合があり、保険料算定に影響することがあります(市区町村によって異なる)。
- 老齢年金との同時受給:65歳以降に自身の老齢年金と遺族年金を同時に受け取る場合、老齢年金は課税対象になります。
- 給付金の受取が多い場合:他の収入と合算して確定申告が必要になることがあります(遺族年金自体は非課税でも申告が必要なケースあり)。
07請求手続きの流れと必要書類
必要書類を集める
死亡診断書・戸籍謄本・住民票・年金手帳・マイナンバーカードなど。状況によって追加書類が必要です。
💡 戸籍謄本は市区町村役所で取得。複数枚必要な場合もあるので余分に取得しておくと安心です。
請求先に連絡・相談する
国民年金のみ加入 → 市区町村役所。厚生年金加入 → 年金事務所(最寄りを調べる)に電話で事前相談するとスムーズです。
💡 ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で事前に確認することができます。
遺族年金裁定請求書を提出する
年金事務所または市区町村役所に必要書類一式を提出します。書類の不備があると再提出になるため、事前確認が重要です。
💡 請求書は年金事務所の窓口でもらうか、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードできます。
審査・支給決定通知を受け取る
書類到達から通常2〜3ヶ月で「年金証書」が届きます。支給開始日の翌月分から偶数月15日に振り込まれます。
💡 審査期間中も受給権は遡及して適用されるため、未払い分は後日まとめて支給されます。
主な必要書類チェックリスト
※状況によって追加書類が必要な場合があります。事前に年金事務所または市区町村役所に確認することをお勧めします。
あわせて使いたいツール
よくある質問
遺族年金の金額は、遺族基礎年金(国民年金部分)と遺族厚生年金(厚生年金部分)の合計です。遺族基礎年金は2026年度で年額816,000円+子の加算。遺族厚生年金は故人の報酬比例部分の3/4が支給されます。実際の金額は遺族年金シミュレーターで試算できます。
①死亡した人が年金の受給資格を満たしていること(保険料納付要件)、②受け取る遺族が法律上の優先順位に該当すること(配偶者・子・父母・祖父母・兄弟姉妹の順)、③生計維持関係があること(年収850万円未満)、の3つが主な条件です。
遺族基礎年金は子が18歳年度末(障害がある場合は20歳)を迎えるまで。遺族厚生年金は配偶者が死亡するまで(終身)が原則です。ただし再婚・受給権者本人の死亡・子が一定年齢に達したときは受給権が消滅します。
子のない妻には遺族基礎年金は支給されませんが、夫が厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金を受け取れます。また、夫が亡くなったとき妻が40〜65歳未満で子のない場合は「中高齢寡婦加算」(年額612,000円・2026年度)が加算されます。
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)はすべて非課税です。所得税・住民税ともかかりません。確定申告も不要(他の所得がある場合を除く)です。ただし健康保険料や介護保険料の計算には影響します。
遺族基礎年金・遺族厚生年金は、受給者本人が働いても原則として減額されません(老齢年金の在職老齢年金制度とは異なります)。ただし配偶者が厚生年金に加入して働いている場合、自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受け取るときは調整があります。
自営業・フリーランスで国民年金のみ加入の場合、受け取れるのは遺族基礎年金のみです(子のある配偶者または子が対象)。厚生年金加入の会社員・公務員と比べて給付水準が低いため、民間の生命保険で補完することが重要です。
請求先は、国民年金のみ加入の場合は市区町村役所、厚生年金加入の場合は年金事務所(または郵便局)です。主な必要書類は①死亡診断書(コピー可)②戸籍謄本(全部事項証明)③住民票④亡くなった方の年金手帳⑤請求者の収入を確認できる書類⑥振込先金融機関の通帳(コピー)です。
年金事務所に書類が届いてから支給決定まで通常2〜3ヶ月かかります。支給は偶数月の15日(年6回)にまとめて前2ヶ月分が振り込まれます。受給が決まる前の期間分(未支給分)は遡及して支払われます。
再婚した時点で遺族年金の受給権は消滅します(支給停止ではなく完全に失権)。再婚後に離婚しても受給権は復活しません。事実婚(内縁関係)でも同様に失権します。
65歳以降は原則として自分の老齢基礎年金+老齢厚生年金(または遺族厚生年金)の選択になります。遺族厚生年金と自分の老齢厚生年金を比較し、高い方(または差額)が支給されます。老齢基礎年金は全額受け取れます。64歳以下は遺族厚生年金のみ受給可能です。