目次
- 1介護保険とは?誰が使える?
- 25ステップ:申請からサービス利用開始まで
- 3要介護度別 支給限度額一覧表
- 4自己負担を減らす制度(高額介護サービス費・住宅改修)
- 5在宅サービス vs 施設サービス
- 6無料ツールで費用を試算する
- 7よくある質問
1. 介護保険とは?誰が使える?
介護保険は、要介護・要支援状態になった際に、介護サービスの費用を一部負担する公的保険制度です。40歳から保険料を支払い、必要になったときに給付を受ける仕組みです。
第1号被保険者(65歳以上)
- • 原因を問わず要介護・要支援認定で利用可
- • 保険料は年金から天引き(特別徴収)
- • 自己負担:原則1割(所得により2〜3割)
第2号被保険者(40〜64歳)
- • 特定疾病(16種類)が原因の場合のみ利用可
- • 保険料は医療保険に上乗せして納付
- • 特定疾病:脳血管疾患・初老期認知症・がん末期など
⚠️ 重要:申請しなければサービスは使えません
介護保険は「申請主義」です。どれだけ介護が必要な状態でも、自分から申請しなければサービスを利用できません。また、認定を受ける前にサービスを利用した場合は「暫定ケアプラン」での対応となります(認定結果によっては費用が全額自己負担になる場合も)。
2. 5ステップ:申請からサービス利用開始まで
市区町村の窓口に申請する
当日〜数日- 窓口:市区町村の介護保険担当課(高齢者福祉課・介護福祉課など)
- 申請者:本人、家族、ケアマネジャー、地域包括支援センターが代理申請可
- 必要書類:要介護認定申請書・介護保険被保険者証(65歳以上)・医療保険証(40〜64歳)・主治医の氏名・医療機関名
- 申請書は市区町村のWebサイトからダウンロード可能な場合が多い
認定調査を受ける(自宅訪問)
申請後1〜2週間- 市区町村の調査員または委託を受けた事業者が自宅などを訪問
- 調査項目:74項目(身体機能・認知機能・BPSD・医療処置・日常生活など)
- 所要時間:約1〜1.5時間
- 本人の状態をよく知る家族が同席することが重要
主治医意見書の作成(市区町村が依頼)
並行して進む- 市区町村が主治医(かかりつけ医)に意見書の作成を依頼
- 本人が手続きする必要はないが、主治医に事前に伝えておくとスムーズ
- 主治医がいない場合は市区町村の指定医師の診察が必要
介護認定審査会による審査・結果通知
申請から原則30日以内- コンピュータによる一次判定(認定調査の結果をもとに)
- 医師・看護師・社会福祉士などの専門家による二次判定(介護認定審査会)
- 認定区分:非該当(自立)・要支援1〜2・要介護1〜5の8段階
- 結果は「認定通知書」と「被保険者証」で郵送される
ケアプラン作成・サービス利用開始
結果通知後1〜2週間- 要支援1・2:地域包括支援センターにケアプラン作成を依頼
- 要介護1〜5:居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)にケアプラン作成を依頼
- ケアプラン作成費用:全額介護保険負担(自己負担ゼロ)
- ケアプラン確定後、各介護サービス事業者と契約してサービス開始
3. 要介護度別 支給限度額一覧表(2024〜2026年度)
介護保険サービスには月ごとの「区分支給限度額」があります。この上限の範囲内でサービスを利用すれば1〜3割負担、超えた分は全額自己負担になります。1単位10〜11.40円(地域により異なる)で計算します(下表は1単位=10円で試算)。
| 要介護度 | 支給限度額 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円(1,006単位) | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
| 要支援2 | 105,310円(2,106単位) | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 |
| 要介護1 | 167,650円(3,353単位) | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
| 要介護2 | 197,050円(3,941単位) | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
| 要介護3 | 270,480円(5,410単位) | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 |
| 要介護4 | 309,380円(6,187単位) | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 |
| 要介護5 | 362,170円(7,243単位) | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
※1単位10円で試算(東京等の1級地は11.40円)。食費・住居費・日常生活費は別途自己負担。
4. 自己負担を減らす制度
要注意高額介護サービス費(月の自己負担に上限あり)
1ヶ月の介護サービス費の自己負担合計が所得区分ごとの上限を超えた場合、超えた分が払い戻されます。最初に市区町村から申請書が届いたら一度申請するだけで、以降は毎月自動的に還付されます。
| 所得区分 | 上限額(月) |
|---|---|
| 現役並み所得(課税所得690万円以上) | 140,100円(世帯) |
| 現役並み所得(課税所得380万円以上) | 93,000円(世帯) |
| 現役並み所得(課税所得145万円以上) | 44,400円(世帯) |
| 一般(住民税課税世帯) | 44,400円(世帯) |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| 住民税非課税世帯(低所得) | 15,000円(個人) |
介護保険 住宅改修費補助(上限20万円)
要支援1以上の認定を受けた方は、手すり・段差解消・引き戸・洋式便器への交換など、改修費の上限20万円に対して介護保険が適用(自己負担1〜3割)されます。工事前に市区町村への事前申請が必須です(事後申請は補助対象外)。
介護保険 住宅改修費シミュレーター
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5. 在宅サービス vs 施設サービス
| 種類 | 月額費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 在宅介護(訪問・通所) | 5〜15万円 | 自宅で生活しながら介護保険サービスを利用 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 12〜25万円 | 安否確認・生活相談付き。在宅扱いで介護保険利用 |
| 有料老人ホーム(住宅型) | 15〜30万円 | 在宅扱いで外部介護サービスを利用 |
| 有料老人ホーム(介護付き) | 20〜40万円 | 特定施設として介護保険定額制。入居一時金あり |
| グループホーム | 10〜20万円 | 認知症対応・地域密着型。要支援2以上が対象 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円 | 入居一時金なし。要介護3以上が原則対象。入所待ち多い |
| 介護老人保健施設(老健) | 8〜18万円 | リハビリ目的。在宅復帰を目指す一時的な入所 |
※食費・居住費・日常生活費を含む概算。要介護度・地域・施設によって大きく異なります。
6. 無料ツールで費用を試算する
7. よくある質問
住民票のある市区町村の「介護保険担当窓口」「高齢者福祉課」などで申請できます。地域包括支援センターに相談すると代理申請を手伝ってくれることもあります。入院中の場合は病院の医療相談員(ソーシャルワーカー)に相談すると申請をサポートしてもらえます。
65歳以上の方(第1号被保険者)は、原因を問わず介護や支援が必要と認定されれば利用できます。40〜64歳の方(第2号被保険者)は、老化が原因とされる特定疾病(脳血管疾患・初老期認知症・がんの末期など16種類)が原因の場合に限り利用できます。
申請から結果通知まで、原則30日以内とされています。ただし、主治医意見書の準備などで遅れる場合もあり、実際には45〜60日かかるケースも多いです。急いでサービスが必要な場合は「暫定ケアプラン」で先にサービスを利用することも可能です(後日認定結果に合わせて精算)。
2015年以降、所得に応じて1割・2割・3割の3段階になっています。65歳以上の方で「合計所得金額が220万円以上かつ年金収入+その他所得が340万円以上(単身)または463万円以上(夫婦)」の場合は3割、「合計所得金額が160万円以上220万円未満かつ年金収入+その他所得が280万円以上(単身)または346万円以上(夫婦)」の場合は2割、それ以外は1割です。
状態が悪化・改善した場合は、認定有効期間中でも「区分変更申請」ができます。市区町村の窓口またはケアマネジャーを通じて申請してください。再び認定調査が行われ、新しい要介護度が決定されます。
特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院では介護保険が適用されます。有料老人ホーム(介護付き)も介護保険サービスが使えますが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では在宅サービスとして介護保険を利用します。
1ヶ月の介護サービス費の自己負担が所得区分ごとの上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。一般的な所得の方(世帯)の上限は月44,400円、住民税非課税世帯は月24,600円(または個人15,000円)です。最初に市区町村から申請書が届いたら一度申請するだけで、以降は自動的に払い戻されます(口座登録後)。申請を忘れると損をするので要注意です。
手すりの設置・段差の解消・引き戸への交換・洋式便器への取り替え・滑り止め床材への変更の5種類が対象です。要支援1以上の認定があれば、1住宅につき改修費用の上限20万円(税込)に対して介護保険が適用され、自己負担は1〜3割(つまり最大18万円の補助)です。工事前に市区町村へ事前申請が必要です。
ケアマネジャーはケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、介護サービスの調整・利用申し込みを代行する専門家です。要介護1〜5の方を対象に居宅介護支援事業者が行うケアプラン作成は、全額介護保険でまかなわれるため利用者の自己負担は0円です(施設入所中は施設のケアマネが担当し、費用は施設費に含まれます)。
認定調査では「普段の状態」ではなく「できる・できない」の能力で評価されます。たとえば「やればできるが本人がやらない」場合でも「できない」と伝えるのが正確です。また、認知症の方は調査当日に調子が良くなることがあるため、日頃の状態をメモしておき調査員に伝えることが重要です。状態を過小評価されると要介護度が低く出て必要なサービスが受けられなくなります。